Sunday, November 24, 2002

[勝手に中国語講座] 03-紹介して・・・


日本語の紹介を入れ替えた「介紹」、意味は同じです。ジエ4サオ4 [jie4 shao4] と発音します。[shao4]のshは舌先を上の歯の裏側に付けてサというと本当らしく聞こえます。ローマ字読みにシァオ4と発音すると「校」になってしまいます。 この「介紹」、結構使えます。どんな場面で使えるか、ちょっと考えただけでもたくさんあります。まず無難なところから。 

・(友人を)紹介してください

あちらでひょんなきっかけで友人ができました。すると、ネズミ講のように知り合いが増えるから不思議です。友人の友人、そのまた友人、友人の彼女、そのま た友人。ときにはチンピラさんに夜の街に引っ張り出されることもありますが、私の場合は、酔いつぶれて、気がついてみたらホテルの自分の部屋でへたってい たりしてました。

「你(給我)介紹(你的朋友)」 [ni3 gei3 wo3 jie4 shao4 ni3 de5 peng1 you3] (アナタは私にアナタの友人を紹介してください)などかしこまっては使いません。簡単に「介紹一下」 [ jie4 shao4 yi2 xia4] (紹介してよ)とか「介紹吧!」 [jie4 shao4 ba5] (紹介しろよ)てな感じでしょうか。「一下」 [yi2 xia4] (イー2シャー4)は、「ちょっと・・・」「吧」 [ba5] (軽くバ)「・・・しろよ」「・・・でしょ」など軽い命令調。
・(料理を)紹介してください
飯を喰うときの問題がメニュー。どんな料理が用意されているのか解らないことです。仕方なく焼きめしとか焼きそばしかオーダーできなかったりしたら悲劇で す。タンメンなどはあちらで単なる「湯麺」ですから、素ラーメン。解らずに向こうの勧めるままに、北京ダックやフカヒレスープなど注文すると、支払いで至 福のひとときが一瞬で消え去ります。安くておいしい食べ物は他にいくらでもあるのですから。お任せするにしても「介紹吧!」 [jie4 shao4 ba5] (紹介して)の一言で向こうも無理強いはしてこないはずです。後はメニューで勧める料理の単価に注意しながら「好」 [hao3] (いいですね)とか、いらなければ「不要」 [bu3 yao4] (いりません)を言い続けることです。

日本では一般に親切心から料理を勧めてくれますが、あちらは違います。何しろ商売ですから。「まあいいか」はやめましょう。日本人はカモ、を教えてしまう ようなものです。自分の意見を言うこと、駄目元で言うこと、支払いで厭な思いをしないためにも、概算をつかんでおくこと。おかしいと思ったら、必ずおかし いと言い続けること、日本語でいいですから。但し目をつり上げてでは交渉になりませんので。
・「 ・・・吧」や「一下」は柔らかい使い手
台湾で夜学に通っていたときのこと。私がタクシーで学校に来ていることを老師 [lao3 shi1] (ラオ3 シー1 先生)が知って、「支払いをするときにメーターを覗いて○○元でしょ?と言ってご覧なさい、台湾の人だと思ってボラレませんよ」と教えてくれました。で、その帰りに使ってみました。「八十元吧!」(八十円でしょ)。どうということなく支払いが終わったのは、運ちゃん[司機] [si1 ji1] (スー1 ジー1) は私を外国人と思わなかったからでしょうか。文章になっていなくても、「一下」や「」を単語に続けるだけで文章になります。そして雰囲気は抜群に良くなります。試してみましょう。

Sunday, November 10, 2002

[勝手に中国語講座] 02 -車間距離を保てば・・・

 
「車間距離を保ちましょう。そうすればアナタは安全です」。ほんの二年前まで、台湾の公共バスの後部にはこんな標語が書かれていました。田舎のそれも町を 外れた道路を除けば、混乱と雑踏の台湾市街地でこんな標語に意味のないことが分かったのか、昨年からは商品宣伝の看板に取って代わってしまいました。町は 四六時中渋滞していますから、一度バスの後ろについてしまえば、厭というほどこの標語を見せつけられることになります。で、記憶に残ることになりました。 ついでにお話しすれば、台北などでは似たような路線に数社のバス会社が乗り入れています。で、停留場の客を我がバスに乗せるため、先を争って走ります。速 い、荒い、そしてカーブでは振り回されます。客からは文句がでていないんでしょうか。そんな話は聞いたことがありません。

「保着距離」 [bao3zhe5ju4li2] バオ ザ ジュィ リー、には主語がありません。この標語を眺めるのは車に乗っている人ですから、主語は彼らになります。「着」は韻をふむのに使っているだけであまり意味はありません。四字四字で調子がいいですね。これは定型です。「您就安全」 [nin2jiu4an1quan2] ニン ジュォ アン チュエンの「就」は、そうすれば・・・なになに、そうすれば安全です、となります。[nin2]の漢字は日本語にないですね。「= あなた」[ni3]の丁寧語が[nin2]。「」など簡単な漢字もありません。

「そうすれば安全です」、これを「そうすれば[私]は安全です」と読み替えました。「保着距離[我 wo3]就安全」。いろいろな場面でありますね、特に外国では。「君子危うきに近寄らず」というのも中国から来た教訓でしょうが、身近な感じがしません。で、「保着距離[我 wo3]就安全」。私はよく、飲み屋でこれを使いました。

「保着距離 您就安全」[bao3zhe5ju4li2 nin2jiu4an1quan2] という標語は、台湾ではきっと子供のときから幾度となく聞かされてきたものでしょう、耳タコのはずです。成人して飲み屋に勤めるようになったお嬢さんが、 飲み屋で、それも外国人から聞かされたら、それは引いてしまうでしょう。彼女たちは、今夜の夜食やお小遣いを得ようと客に「クチチョコレート」してきま す。優しくお断りするのには、「保着距離[]就安全」(あなた方と距離を保っていれば、私は安全です)と答えることにしました。大体は大笑いでその場を終えることができましたね。

教科書で学ぶことができない外国語の日常会話を覚えるには、興味を引いたらすぐに使ってみることです。ときにはTPOを踏み外すこともありますが、そこで 正しい使い方を学習することができるものです。TPO外しが、意外な効果を生みだすこともあります。是非、東アジアで楽しんでください。

Sunday, November 03, 2002

[勝手に中国語講座] 01 -始めての中国語

 
右も左もわからない台湾で始まった仕事、会議や打ち合わせは日本語の分かる方か通訳がべったりと付いていました。人と一緒にいる限り、会話に困ることはありません。観光で来ているわけではありません、行動もホテルから仕事場を往き来するだけです。食事も現地のスタッフが注文してくれます。こちらは今日はあれを食べてみたいこれはどうかと注文を出すぐらいです。会話に困ることもありません。ホテルも日本語がすべて、何も問題はありません。こちらは仕事に専念していればいいのです。

楽しみは宴会の日。その当時の私のボスは台湾系日本人、台湾では有名人でした。お呼ばれがしばしばです。いつ終わるともしれない、次から次へとでてくる大盛りのお皿と、新人にとっては堅苦しい会話と杯のやり取り。これを我慢するとお楽しみが。あちらの所長さんたちの接待に移ります。当時台北でもっとも賑やかではやりの繁華街、林森北路・六条通りへと向かいます。六条通りは現在でも飲み屋さんがたくさんありますが、古いタイプの、おじさん好みの店が多いため、地元の若者たちは他へ、渋谷や六本木のようなところに出かけているようです。

どの店も薄暗く、人でごった返していました。客と店の女の子。当時はカラオケなどありません。飲むか女の子と話をするか、台湾拳(かけ声とともに相手と自分の出した指の数を当てるジャンケン)で飛び交う大声。それこそこれぞ台湾!という賑やかさでした。酒がたしなめるわけでも、台湾拳に挑戦する気もありません。で、脇に同席する女性と話をすることになります。当時は日本人は上客です。以下に店を、女性を気に入ってまた来てもらうか、彼女たちは仕事にとても熱心でした。かなりの女の子がそれなりに日本語を話すことができました。

「きれいですね」とわたし。「アナタ クチ チョコレートネ」と日本語で彼女。口が巧いですね、の即物的な表現。「いや、本当です」。確かに美人が多かった気がします。「黒白講!」と彼女。「えっつ?」と私。「アナタ ウソツキデスネ」と日本語で彼女。「いや、本当です」としつっこくわたし。「綺麗って中国語でなんといいますか?」、「ピァオ リァン (piao4 liang4)」 「うそつきは?」 「オペコン」。黒=オ 白=ペ 講=コン。うそつきは白黒で話をする、これも実に解りやすい漢字です。で、この二つの言葉は機会あるごとに使ってみることになりました。耳当たりがいいのです。使っては「アナタ チュウゴクゴ ウマイネ」と言われ、いい気になっていたものでした。

実は好んで使った二つの言葉、「きれいですね」「漂亮」[piao4
 liang] (ピャオリャン)と うそつきですね」「黒白講」(オペコン)は、二つの言語、異なった言語体系。一つはマンダリンと呼ばれる中国語(標準語とも普通語とも北京語ともいう)、もう一つは台湾語です。「漂亮」 [piao4 liang]は標準語、「うそつきですね」=「黒白講」オペコンが台湾語。彼らは日常的にバイリンガルです。

中国には百八の言語があるといわれています。何しろ広大ですからね。北京地方は北京語、上海は上海語、広東・香港は広東語などなど。台湾は台湾海峡を挟んだ向かい、福建の移民の土地、もともと福建語が使われていました。その後に客家人が入り、中華人民共和国建国後は蒋介石の国民党一派、軍人・その家族・公務員とその家族などなど総勢60万人とも100万人ともいわれる人たちが台湾に移り住むことになります。

蒋介石も毛沢東も一つの中国を主張。お互いが正当性を掲げたので、台湾に新政府を宣言した蒋介石は公用語を大陸と同じ標準語にします。で、台湾の多数派は台湾語を、新住民の蒋介石の人民は標準語を使い、日常生活ではこの二つが混在して使われるようになりました。それ以外にも、元々台湾の原住民の言葉や、少数派の客家語も使われていますが、いまや年齢の高い方々のみになりつつあるようです。

台湾をおおとづれてしばらく、この二つ、標準語と台湾語の区別はつきません。台湾語と標準語の違いは、関西弁と東京弁(標準語)の味の違いに似ています。その辺はまたの授業で。・・

Friday, November 01, 2002

[勝手に中国語講座] 00 -中国語事始め

みなさんこんばんは。みなさんが始めて覚えた中国語は何でしょうか。日本にいても、いくつかの中国語はいつの間にか覚えているものです。「ニーハオ」 「シィエシィエ」などが代表的ですよね。わたしが30代半ばに始めて台湾へ仕事に出かけたときから、わたしの中国語学習は始まりました。そこで味わった実 に面白い中国語学習の体験をお話ししたいと思います。正調あり、裏技ありで、学習書には載っていません。ただし、しっかりした中国語を学びたい方、参考に なさらないように。では、始業ベルの始まりです。

注:中国語の漢字には日本語にないものが多く、表記ができません。ここではピンインというアルファベットを使った発音記号で現すことにしました。アルファベットの後の数字は四声というイントネーションにあたります。