Friday, September 24, 2004

[勝手に中国語講座] 11-小学一年生の教科書

中国語を本格的に学び始めたのは台湾、仕事を終えたあと学校に行きました。学校の名前は「国語日報言語中心」という新聞社が開いていたランゲッジ・セン ター。正しい中国語を幼少期から教育しようというのが目的です。発音記号付の「国語日報」という新聞を発行しています。この項目のタイトルがその発音記 号・・・
こ の学校で使う教科書は二種類、一冊目がこの新聞社が出版している中国語の参考書。もう一冊は小学校の教科書。写真の頁はその第一課。はじめて見たときは まったく解かりませんでした。この記号[注音符号]といいます。日本語でいえばカタカナのようなものでしょう。そこにイントネーション、[四声]といいま すが抑揚を意味する記号がつきます。

日本で中国語の学習をしようとすると、それは中国大陸の中国語。台湾中国語とは漢字が違う、発音記号が違う、台湾に出かけて新聞などを見てもすぐには応用 できないかもしれません。この奇妙な発音記号を覚えなければ授業は次に進みません。先生はカードに書かれた記号を差し出しては声を出させます。ホテルに 戻っては復習の毎日でした。

では昔に戻って小学一年生の気分で第一課を学んでみましょう。写真をクリックすると拡大します。
(注音符号のフォントは特殊なため、一般のパソコンでは表示できません。ここでは大陸と同じピンイン、ローマ字であらわします)


di4 yi1 ke4
lao3 shi1 hao3
xiao3 peng2 you3 hao3

第一課
老師 好
小朋友 好 (朋は月+月)

だいいっか
せんせい こんにちは
みなさん(ちいさいともだち) こんにちは

簡単ですよね、ところが前期の教科書がみなこの記号だけで書かれていると思い浮かべてみてください。さっぱり解かりません。漢字の持つ表意記号のありがたさが理解できました。

私は予習復習をするいい生徒だとみなされていました。進度も早く先生同士で自慢できる生徒でした。それはそれでいいのですが、今度は自分の別の生徒同士で 争わそうとします。私は個別班といって、先生一人に生徒一人の教室です。他にもその先生、日本人の生徒がいて彼の進度も私に話をします。彼は今日どこまで だったとか、漢字もちゃんと書けたわよ、とか。

教科書に出てくる新しい漢字は、黒板の前に出て書き順を正しく書かされました。私はかなりいい加減でしたから、この部分では後れを取っていたと思います。これには参りました。影で努力しましたが、先生の前では嘯いていました。

先生、若い(たぶん)台湾人で女性。この学校の先生、多くが大陸から逃れてきた人たちでしたが、何しろお年でしたから若い人が必要になったのでしょう。台湾人と大陸からの人間とは発音がかなり異なります。巻き舌が強いのは大陸人。よくまねをしたものです。

Wednesday, September 15, 2004

[勝手に中国語講座] 10-不好聴的話・耳障りな話




不好聴的話[bu4 hao3 ting1 de5 hua4] 、控えめに訳して「耳障りな話」。汚い言葉ともいいます。人を侮辱したり非難したり軽蔑したり悪態をつく言葉。その言葉の種類は日本語の遠く及ばないもの があるようです。一寸現地に長期滞在すれば、すぐに遭遇できるはずです。意味は分からなくても・・・ 
不 好聴的話[bu4 hao3 ting1 de5 hua4] 以外にもう一つ、罵人的話 [ma4 ren2 de5 hua4] というのがあります。これは完全に放送禁止用語。映画「フルメタルジャケット」や「パルプフィクション」の世界。しかしすぐ覚えてしまいますね、この類の 言葉は。

当然外国人の私たちが使うには細心の注意が必要になります。TPOの心得がないと大変なことにまり増す。注意してください。今回はTPOをはずした失敗例をお話します。

ヤクザさんのことを中国語で流氓(亡+民) [liu2 mang3] といいます。大親分は大流氓(亡+民) [da4 liu2 mang3] 、ヤクザさんといっても今の日本の組織暴力団とは一寸雰囲気が違います。昔の地回り、任侠の世界に近い。今の日本の弱いものいじめ、上から押さえつけられ ると下にあたる、ひいては自分の子供まで殺してしまうようなことなど考えられません。彼らは上にのし上がるため、強いものに向かっていきます。

台北の夜。建設会社の会長さんに寿司を食べに行こうと誘われました。台北の下町、日本風しつらえのすし屋さん。馴染みのようでカウンターごしに挨拶をして いる。テーブルに着き注文をとろうとすると、奥の席から恰幅のいいおじさんが近づいてくる。会長も立ち上がり、挨拶を始めた。すぐさま私も呼ばれ紹介され ました。おじさんの名詞には<○○児童図書出版>と。肩書きは董事長、出版会社の会長さんです。名詞から目を上げおじさんを見てしまいました。どう見ても 児童文学とは縁のなさそうな風体です。おじさんはすぐに気がつき笑いながら聞いてきました。

「おかしいですか?どうみえますか?」
わたし、おもわず
「大流氓(亡+民)」
周りの風景が固まり、騒がしかった音も消えてしまいました。
建設会社の会長さんも口をあんぐりさせています。

いや、軽い気持ちで冗談が出てしまいました。
冷や汗も出ません。
しかしさすがおじさん、ニコニコ顔になっていました。
あわてて我々、席に戻ります。

会長さん「大行さん、彼は台湾で三本の指に入る大親分ですよ」
わたくし「エッ!」 再度びっくりです。
会長さん「大行さん、知っていたのですか?」
わたくし「・・・・・・」 知るはずもありません。

初めてお会いした方を見た目で判断した上、その人をヤクザさんといってしまったのは失礼この上ないことです(でも当たってしまいました)。それ以降、建設会社の会長さんは機会あるごとにあのときの私の真意を問いただします。冗談だったのか、本当にそう思ったのか。

その後も大親分は会長さんとたびたび会っていましたが、会うごとに「あの日本人はどうしている?」と聞くそうです。口は災いの元、細心の注意を。今回は使ってはいけない言葉の、使ってはいけない例でした。

Wednesday, September 08, 2004

[勝手に中国語講座] 09-就是・そうだそうだ!


相槌を打ってみましょう。「他講的不對!」などと話が出たら「就是!」と返事をしたりすると相手はにこっとしたりするでしょう。「おう、お前俺のこと分 かってくれたか」なんてことでお酒が進むかもしれません。一生懸命中国語を覚えようとして、相手の使った言葉を私なりに解釈して応用してみました。かなり の確率で成功すること請け合いです。
不調に終わった会議の後のこと・・・

台 湾での話。クライアントの保険会社の部長さんが部下に強く当たっています。それが「他講的不對!」[ta1 jiang3 de5 bu3 dui4](あいつの言ってることおかしいーよ!)、他の方々神妙にうなずいています。部長さん、私のほうにむきなおして尋ねます。

部長「大行先生、あなたはどう思いますか?彼の言っていることはおかしい、××ですよね!」
私「就是吧!」[jiu4 shi4 ba5](当然でしょう!)
部長「就是吧!」(そうですよね!)
他の全員、一斉に「就是!就是!」(そうです!そうです!)
全員「就是」だけです。それでも意気投合、結果相手方の担当者は悪人にされて終わりました。

このときは驚きました。私との会話の前、部長が部下に話をすると、部下たちがうなずきながら「就是」と返事をするのを私は聞いていました。うーん、相槌の 言葉なのかなー、などと漠然と感じていましたが、部長の質問に思わず使ってみると場にぴったり、雰囲気は好い加減になりました。
ただこの言い回し、ちょっとイエスマン的な雰囲気がありますので、使い方にはご注意ください。

普通は「對吧!」[dui4 ba5](そうでしょう!)など軽口の使い方のほうが一般的で、「就是」は強調した表現かもしれません。仲間内ではよりくだけた言い方もありますが、これ はどちらかというと「不好聴的話」[bu4 hao3 ting1 de5 hua4](汚い言葉)の部類に入ります。その話はまた別の機会ということにしたいとおもいます。

(一部文字が欠落する場合があります。そのときはOSに中国語繁体字{big-5}を組み入れてください)